時代の先端は、まさにターコイズに進みつつあるのだ - 星川淳 INNERNET WORKS

時代の先端は、まさにターコイズに進みつつあるのだ

天外伺朗(作家)

 

星川淳さんが、前作『ベーリンジアの記憶』に引き続いて、大作を上梓された。共通のテーマはアジアからアメリカへの民族の移動。

 

前作では、約一万年前に陸続きだったベーリング海峡を渡っていった民族のストーリーで、その後『一万年の旅路』というインディアンの伝承歌との出会い、という星川さんの人生における大きなドラマにつながった。

 

今回は、太平洋を船で往来するというテーマ。16世紀の鉄砲伝来時の種子島の少年、アイヌやポリネシアと、さらには大航海時代の白人が織り成す愛と冒険の物語に、現代のカナダで発見されたカヌーと人骨の遺跡の解析が絡み、とても面白い構成になっている。

 

もうひとつのテーマは、鉄砲に象徴されるエゴの追求と戦いの文化と、インディアン的な自然を尊重する文化の葛藤。これは、ヒッピー時代からの星川さんのテーマであり、また「聖なるパイプ」を長老から拝受している私のテーマでもある。

 

全体のキーとなるのが、3個のターコイズのペンダント。星川さんが意図してターコイズを選んだかどうかはわからぬが、これは大きな意味がある。

 

南アフリカがアパルトヘイトから脱して新しい社会を建設するときに指導したクレア・グレイブスの「スパイラル・ダイナミクス」では、人間の意識の成長・進化のステップを色であらわしているが、エゴの追求を脱して自然との共生を尊重する方向に変わったレベルをグリーン(星川さんが代表を務めていたグリーン・ピースや緑の党などがその象徴)、それを超えてさらに統合が進んだレベルをターコイズと呼んでいる。

 

時代の先端は、まさにターコイズに進みつつあるのだ。

 

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