現代人の「ふかいやまい」を照らす - 星川淳 INNERNET WORKS

現代人の「ふかいやまい」を照らす

向原祥隆(図書出版南方新社代表)

ひと息に読んだ。

 

誤解を恐れずに言えば、アジアとアメリカ、そしてヨーロッパを結ぶ、冒険活劇であり、恋物語である。その舞台が、500年前と現代、交互に展開される。

 

両者の時間の隔たりに全くの違和感がないのは、ともに500年前の鉄砲と現代の核という、それ以前のものよりはるかに大きな破壊力を持つ武器を人間が手にした、時代の転換点だったことによるのだろう。

 

核は、原子力、農薬、重機、コンピュータ、輸送機械……、現代文明を支えるあらゆるものに置き換えてもいい。それらは巨大な力を人間に与え、逆に全てが文明の崩壊さえ予感させている。500年前も現代も、「ちから」は人間の「やまい」に繋がる。

 

本書は、現代人の「ふかいやまい」に光を当て、処方箋を訪ねる書である。

 

 

レビュー