レビュー - 星川淳 INNERNET WORKS

自分の中に眠っている力がふつふつと呼吸を始める

星野ゆか(うたうたい)

 

海を渡る魂のものがたり。

 

読みはじめるとすぐに、みずみずしい生命力にあふれた、生身の人間たちのドラマに目が離せなくなる。手に汗握り、主人公たちと旅をしていくと同時に、地球のうえに生きる、人類の歴史的な旅にはるかに思いを馳せた。

 

歴史の中のある一点を生きるいのちと、大きな流れとしてのいのちと・・わたしにつながるいのちたちの冒険に、わくわく、はらはらしながら夢中になって徹夜で読んでしまった。

 

そして、この500年の人間の歴史に、武器の発明とその拡大が与えてきた影響にもあらためて思いをめぐらせる。 今、私たちは、この人類の歴史のなかのどのあたり、次の時代へ生き継いでゆくつながりのなかにある自らの存在を新たなまなざしで確かめる。

 

自分の中に眠っていた力がふつふつと呼吸をはじめ、不思議な愛おしさとともにひろがっていくのを感じた。

 

読み終わって、この思いを誰かと分かち合いたくてたまらなくなった。

 

(表紙見返しより)
まことに、この世は白い民の訪れと、あの火筒のせいで終わる。 これから五百年、その病が地上を覆い尽くし、焼き尽くすだろう。 だが、われわれは次の世の備えをしなくてはならぬ。

     *   *   *

そのとき、青い石を通じて魂の自由を思い出させるのは 私らよりもっと古い祖霊たちの声だ。
(引用終わり)

 

【追記】 魂も身体も、熱くなる本―― なにかが浄化されて、若返ったような気分になりました。 恋人たちの恐れを知らぬ思いの貫き方がまぶしくてまぶしくて、その情熱が飛び火してくるよう。 人間の存在を貫く透明なまなざしと、生々しい生き様の力強さと、両方をいちどに味わえる贅沢な作品!

いずれ共に故郷に帰れるかもしれない

山下正行(陶芸家/屋久島・埴生窯)

 

窯焚きの後、「タマサイ」と一緒に一週間の旅でした。

 

自分の人生と重ねて読みました。

 

どこかで魂は深くつながり、近く遠く、いずれ共に故郷に帰れるかもしれない。

そんな希望を持ちました。

 

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